昨年暮に茶道の岡田宗凱先生より、世界茶界の弟子達に茶事開催の提案がありました。
まず、思った事は、「茶歴2年目の私には無理でしょ。」
できるできないはおいておいて、極限られた大切な方に、私が一番寛げる大好きな場所で、薔薇のベストシーズンに感謝の気持ちをお伝えしたいという想いからスタートしました。
「風炉の正午の茶事というものは、およそ正午ごろ迎付け、席入りという茶事で、懐石を昼食に合わせるように仕組まれており、菓子を出して中立、後座に濃茶というかたちで、最も順序よく合理的に仕組まれた茶事であります。」(お茶のおけいこ【表千家流】より引用)と書かれています。
出来るだけこれに沿った形で、茂原のSawaroseガーデンの雰囲気に合うものや私が大切にしてきたものや私の好きなものを散りばめて茶事を組み立てていきました。
玄関に打ち水をし、門の扉を開けてお客様の到着を待ちます。
寄付に叔父が父の昇進祝いに詠んでくれた短冊
「白南風の波のり超えん船出かな」をかけ、芳名帳にお言葉を頂き、お客様に白湯を出します。
半東からの案内により、寄付から外腰掛(レオナルドダビンチとダフネのつる薔薇が絡まるガゼボ)に進みます。
迎付けは、席主とお客様の対面、でも言葉は交わさない、これからどんなお席になるのだろうと気持ちが高まり、ワクワクしながら手を清める。茶事ならではの雰囲気が味わえる私にとっても大好きなワンシーン。
掛物拝見
書道を趣味としていた母の書、「雲無心以出岫」を掛け、両親に守られながら茶事を進めることが出来ました。
懐石料理の代わりに、元会社の先輩で家族ぐるみで親しくさせて頂いていて、早期退職されフレンチレストランをされていた方にシェフをお願いし、メッセージカードを添えてフランス料理をお出ししました。
カリフラワーの冷スープ、スパ-クーリングワイン、季節の野菜のキッシュ、人参サラダ、ポテトサラダ、カジキマグロの赤パプリカとバジルソース添えソテー、海老つみれ詰め椎茸、赤ワイン
茶事のクライマックスの濃茶の前の主菓子はアフタヌーンティー風に。
中立ちではお客様に庭の鑑賞をして頂いている間に、濃茶のお席の設えに変え、鳴り物を鳴らし、お席の準備が整った事をお知らせします。
お濃茶には、八女の星野製茶園 の「星野新抹茶」をご用意し、お湯を注ぐとなんとも言えない爽やかな香りが広がります。
薄茶のお菓子は約400年にわたって干菓子を専門に手掛ける「亀屋伊織」、他の出店も一切なく、お取り寄せも不可というお店の楓せんべいとありへいとうをお出ししました。
二席目の午後の会は長男と次男が参加してくれ、仲睦まじい会になりました。
薄茶は、いつも守ってくれている希望のビーナスを掛け物に見立て、心地よい雰囲気の中でお茶を差し上げる事が出来ました。
複雑な思いで過ごして来た半年間でしたが、こうすれば良かったという思いより、時間を割いて遠くまでお越し下さったお客様、頼りになる先輩方、無茶ぶりが多くて戸惑う事もありますが目標高く導いてくださる岡田宗凱先生、惜しみなく最高に美味しいものを提供して下さった幸子シェフのお陰で今できる最高のおもてなしができたという気持ちが大きいです。